
Trend 税理士業界の“今”と“未来”
激動する時代に、私たち税理士事務所のあり方はどうあるべきか。業界の“今”を感じ、“未来”を覗いてみて下さい。Trend Overview ~業界の現在と未来について~

あなたは税理士という仕事を知っていますか?
<専門性とその特権> 税理士とは税務・会計に関する様々な知識を有する国家資格者です。いわば、国によって専門性と社会的地位が与えられた国家資格といえるでしょう。 税理士は「業務独占資格」でもあり、税務書類の作成・申告を依頼者本人に代わって行う代行業務は有資格者以外が携わることを禁じられています。そのため、税理士はそうした業務を“独占的に”行うことが可能です。 また、税務に関連した相談に答えることができるのも、税理士だけに認められた特権です。
進むIT化で、税理士の未来はどうなる?
<急速なIT化による自動化・効率化> 前項で触れた“税理士の仕事”を組織として行うのが税理士法人。専門性の高い税務サービスを独占的に顧客へ提供し、社会の中で確かな価値を築いています。 しかし、その状況が10年あまりで急速に変化していることを知っていますか? AIなどの発達が進み、社会全体にITテクノロジーが導入されていく中で、税務業界でも先進技術の導入が進み、仕訳入力や申告手続きといった事務作業の自動化・効率化が加速。AIの発達により、プログラミングしやすい業務全般がコンピューターに取って代わられるといわれています。 単に「税理士であること」「税理士法人であること」だけでは、税理士業界の将来を生き抜くことができないかもしれません。 <“人”にしかできない仕事領域> 税務の世界でIT化が進んでいる一方、「人にしかできない領域」の価値も高まっています。 例えば、条文の解釈や税務との折衝。また、税務案件の複雑化が進んだ先にある事業継承や相続など、これは人にしかできない領域です。 「税理士に頼まなくて良いこと」と「頼まなければならないこと」のすみ分けがはっきりしてきたともいえるでしょう。 <税理士の専門性に価値を見出す> 税理士業界ではITテクノロジーの導入のほか、若年層の受験者が減少し、税理士の高齢化が加速しているという別角度の問題も見えはじめています。 開業税理士の中で60歳代以上が占める割合は62.8%(第6回税理士実態調査より)。10年、20年という長いスパンで見ると税理士法人の数は減少し、自動化も進む中で、税理士法人もより「選ばれる存在」とならなければなりません。そして、選ばれた時の“価値の高さ”も大きくなるでしょう。 “人にしかできない仕事領域”を追求し、専門性を高めていくことこそ、これからの時代を生き残る秘訣です。